はじめまして,朝日ネット ネットワーク部のたかぎと申します。 ISP・VNEのバックボーン運用を担当しています。ルータの機能検証なども行っています。
2019年7月24日~26日に神戸市にて開催された JANOG44ミーティング に参加してきました。今回は,JANOG・JANOGミーティング全体のご紹介と,JANOG44ミーティングの参加レポートをお伝えします。
JANOGとは。JANOGミーティングとは。
JANOG (JApan Network Operators' Group) とは,
インターネットに於ける技術的事項、および、それにまつわるオペレーションに関する事項を議論、検討、紹介することにより日本のインターネット技術者、および、利用者に貢献することを目的としたグループです。
出典: JANOG | General Information
そして, JANOGミーティング とは,そんなJANOGに参加している(もしくは参加したい)日本のインターネットに関わる人たちが集まり情報交換,議論を行う場です。”ミーティング” という名の通り,基本的に「意見交換」という志向が強くあります。 各プログラム内の発表も「~して○○な課題を乗り越えたのでその情報共有」や「~と思いますが皆さんの意見・知見募集」といった内容のものが多くなっています。
回を追うごとにミーティングの規模は大きくなっており,JANOG44ミーティングでは本会議の参加者が1602名と過去最多を更新しました。参加者の職種はエンジニアに限らず,学術系の方や営業の方なども数多く参加しています。 会期中は大規模な懇親会が開催されたり,学生の参加支援プログラム制度などもあったりします(この辺りは後程詳しくお伝えします)。
JANOG44ミーティング
全体
JANOG44ミーティング は 7月24日(木)~26日(金) の3日間,神戸国際展示場2号館で開催されました。会場はコンベンションホール・3A会議室・3B会議室の三つあり,各会場でプログラムが進行するパラレルセッション形式でした。
今回はBoF (Birds of a Feather、同好の士の集まり) およびハッカソンを除くすべてのプログラムで,ストリーミング配信が実施されました。例年は発表内容の都合上どうしても配信できないプログラムがあったのですが,JANOG44では全プログラムが公開となりました。プログラムのアーカイブ配信期間終了後も,資料は引き続き公開されています。パラレルセッションのため出席できなかったプログラムなども見直すことができますね。
気になるプログラムはぜひJANOG44 Webサイトでチェックしてみてください。( Home :: janog44 のプログラムページから発表資料をみることができます!)
パラレルセッション
JANOGミーティングではネットワーク業界で話題となっている最新のテーマが多く取り上げられます。 最近のホットトピックスは 100G・400G1 , SRv62 , 運用自動化 , ネットワークの地域分散 , 5G3 などでしょうか。もちろん, ルーティングセキュリティ や 法律関係 (個人情報の取り扱い) といった時代を問わず重要なテーマも,たびたび話題となっています。
JANOG44ミーティングも,どのセッションも大変おもしろかったのですが,本レポートではその中で3つ程ピックアップしたいと思います。
IPv6トラブルシューティングMini
このプログラムでは,IPv6に関するルータ設定での「ハマりどころ (ipv6 nd ra suppress / ipv6 nd ra suppress "all" の違い) 」についての解説が行われました。日々の業務でIPv6ルータの設定を行う際,細かなオプションの違いについて理解しきれないという課題を抱えていたため,非常に勉強になりました。 ルータだけでなく,LinuxでIPv6設定を行う場合の注意事項などの話題もあり「普段なかなか解説されないけれど重要なこと」について知見を得ることができました。ルーティングセキュリティ維持向上の取り組み : MANRSに参加しませんか?
MANRS (Mutually Agreed Norm for Routing Security) と呼ばれるルーティングセキュリティの維持向上を目的とした活動が行われています。このセッションでは「日本の企業はMANRSの参加要件を満たしているネットワークオペレータ(組織)が多いのにも関わらず非常に参加組織が少ない」という現状が共有されました。また,発表中壇上でリアルタイムにMANRSへの参加登録が行われ,日本のAS運用組織に対してMANRS参加のハードルをグッと下げたプログラムだったように思います。西日本のインターネットをもっと熱くするためへのさらなる一歩
実は日本のインターネットにも,人口と同じく「東京集中」という課題が存在します。本プログラムでは,西日本をインターネット的にももっと盛り上げようという趣旨のもと,ここ数年で西日本のインターネット事情はどう変わったか・今後もっと盛り上げるには何をしていくべきか,について議論されました。こういった地域分散の話題はJANOGに限らずQUNOG,ENOG,TDNOGといった各地域のNOGでも話題になっています。JANOG内に閉じた話ではなく,各方面で話題になっている議題について取り上げられることも,とても多いようです。
ハッカソン
1日目の3B会議室では「ハッカソン」が開催されていました。今回のJANOGハッカソンでは,制作物のテーマ決定から成果物発表まで,1日で取り組んでいました。テーマはネットワーク検証・運用自動化や自動資産管理棚卸ツール・トラフィック可視化など各チーム様々で,最終日の本プログラム内では,その様子や優勝チームの成果物発表が行われました。
協賛ブース
協賛ブースでは,ルータやトランシーバのメーカーや,IX事業者,クラウド事業者など様々な企業がブースを出展していました。企業側からの説明に留まらず,利用者側からの相談なども行われ,参加者の立場がフラットなJANOGという場所だからこそ可能となる話題も多かったように思います。また,協賛ブースにはお菓子やコーヒーの提供コーナーもあり,参加者はここで小腹を満たしつつブースを回ったりセッションに参加したりしていました。
懇親会
2日目の本会議終了後, ANAクラウンプラザホテル神戸にて懇親会が開催されました。参加者は総勢939名だったとのことです。おいしい神戸の地酒やグルメに舌鼓を打ちながら,参加者同士で本会議中に議論しきれなかった話題の続きや情報共有などを行いました。プログラム発表者には名札にお花がついていて,人の多い懇親会会場内でも見つけやすくなっています。 お酒の力も相まってプログラム内では聞けなかった裏話を聞けちゃうことも……
JANOGミーティングの楽しみ方
以上,JANOG44ミーティング in 神戸 の参加レポートでした。ここでお伝えした様子は,JANOGミーティングのほんの一部です。セッション参加や参加者同士のコミュニケーションを通じて得られる情報のボリュームは計り知れないものでした。 切磋琢磨する友達を作るのもよし,業界の大先輩を見つけて相談するのもよし,発表者を懇親会で捕まえて質問責めするのもよし。JANOGミーティングは本当に様々な参加意義があると感じます。もちろん,インターネットについて議論しつつ,おいしいご当地グルメを楽しむのも忘れてはいけないJANOGの醍醐味です。
若者支援プログラム
最後に,「若者支援プログラム」の宣伝を少しばかりさせていただきます。
実は,今回は ”若者支援プログラムのスタッフ” という立場でも参加していました。若者支援プログラムとは,ネットワーク業界を担う若者を育成するため,JANOGミーティング参加にかかる交通費、宿泊費、懇親会参加費用を支援する制度です。JANOG44ミーティングでは,この若者支援プログラムを通して12名の学生が参加してくださいました。費用面での支援だけでなく,会期中のサポートも行っています。
私自身も,学生時代にこの支援プログラムを通してJANOGミーティングに参加しました。初めてJANOGに参加したときの感動を今でも鮮明に覚えています。インターネット業界で活躍しているエンジニアと実際に対面することで,ぼんやりとしていた業界に対するイメージが非常にクリアになりました。当時若者支援プログラムで一緒だった方々と,今度は エンジニアとしてJANOGで再会 なんてこともあります。
参加前は「ハードル高いかも…」という不安もあるかもしれませんが,若者支援プログラムだとスタッフのサポートがあるので迷子になることもありません。この記事を読んでくださった学生の方,インターネット業界に興味がありましたら是非一度JANOGミーティングへ参加してみてください。
採用情報
朝日ネットでは新卒採用・キャリア採用を行っております。