ISPネットワーク基盤の構築を担当しているskgc777です。
今回は、ネットワーク機器やサーバ機器を稼働させる上で欠かせない「電源」について話をしてみたいと思います。
データセンターの電源の種類
一般家庭では、パソコンや電子レンジ等の電化製品用として、主に100Vの電圧が使われています。 IHクッキングヒーターや大きめのエアコンを設置している家庭では、200Vの電圧が使われていることもあります。 データセンターでも、一般家庭と同様に100Vだけでなく、200Vの電圧が利用可能です。 電源の効率的な運用という観点では、同じ電力(W)を供給をするのに必要な電流(A)が半分で済む200Vの方が効率的とも言えます。
- 100Vの電源設備 100V× 6A=600W
- 200Vの電源整備 200V× 3A=600W ★こちらの方が電源効率が良い
そのため、データセンターを利用する場合には、200Vの利用を前提に電源設備を構築するケースが多くあります。
電源には「交流(AC)」と「直流(DC)」の2種類がありますが、200Vから100Vへの変圧等が容易な「交流(AC)」が主に利用されています。
ネットワーク機器やサーバ機器の電源の種類
ネットワーク機器やサーバ機器に搭載された電源は、主に「100V対応」と「100-240V対応」に分けられます。 「100V対応」は、日本製の小型ネットワーク機器(メディアコンバーターやスイッチングハブ等)で多く見受けられます。「100-240V対応」は、海外製のネットワーク機器やサーバ機器の多くが該当し、データセンター側の電源設備が100Vでも200Vでも利用可能なので汎用性が高いと言えます。
ここで気をつけないといけないのは、データセンターの電源設備が200V用の場合、「100V対応」の電源を搭載した機器は利用出来ないということです。
- 「100V対応」の機器 200Vの電源設備では利用不可
- 「100-240V対応」の機器 100Vと200Vの電源設備の両方で利用可能
機器選定の際には、搭載している電源の種類を確認するのも重要なポイントの一つです。
コンセント形状
次にコンセント形状についてご紹介します。一般家庭で使用している「100V対応」のコンセントのほとんどは、平行型と呼ばれる縦型の差し込み口が2本あるものです。
データセンターでは、様々なコンセント形状が利用可能ですが、実際にはラック内に設置する電源分岐装置(PDU)によって決まります。
以下、電源分岐装置(PDU)で利用可能な主なコンセント形状をご紹介します。
- 100V対応コンセントの例
- 「接地形2P 15A 125V抜止形(NEMA 5-15R)」
- 100V/200V対応コンセントの例
- 「接地形2P 15A 250V(IEC C-13)」
- 「接地形2P 20A 250V(IEC C-19)」
「IEC C-13」と「IEC C-19」は、250Vまで対応可能なので、100Vのみに対応した機器でも使用可能です。 ただし、100Vのみに対応した機器に、200Vの電圧を供給しないように注意する必要があります。
電源コード
「100-240V対応」機器を購入すると、以下の2種類の電源コードが付属している場合があります。
- 100V用 「IEC C-13」-「NEMA 5-15P」
- 200V用 「IEC C-13」-「IEC C-14」
「コンセント形状」の項でもご説明した通り、「IEC C-13」-「IEC C-14」は250Vまで対応出来るので、100V用として使用することも可能です。 電源コードについては、標準添付品では長さが合わない場合に市販品を利用したり、ラックに設置された電源分岐装置(PDU)に合わせて脱落防止機能の付いた製品を利用する場合もあります。
機器本体側の電源コード差し込み口
機器本体側の電源コード差し込み口ですが、「100V対応」機器の場合には様々な形状があります。ACアダプタの丸いプラグを挿す形状、メガネ形の電源コードを挿す形状、前項でも紹介した「IEC C-13」の対となる「IEC C-14」の場合もあります。
一方、「100-240V対応」機器の場合には、ほとんどが「IEC C-14」となります。
少し大きめのネットワーク機器になると「IEC C-20」となります。
また、ネットワーク機器の場合には、電源コード差し込み口に脱落を防止するための抜け止め金具が付いているものあります。
機器の安定稼働を目指して
ネットワーク機器やサーバ機器を動かすために必要な電源について、基本的な知識をご紹介しました。
データセンターで機器を稼働させる際には、電圧の違いや電源コードの組み合わせを意識する必要があります。
また、200V用の電源コンセントに、100Vのみに対応した機器を繋ぐと機器故障の原因ともなりますのでくれぐれも注意しましょう。
今回はご紹介できませんでしたが、実際のISPネットワーク基盤の構築に際しては、機器の安定稼働を図るために様々な取り組みをしています。
- 電源コード脱落防止
- 電力可視化
- 電源冗長化
- リモート電源導入
- その他
次回、機会があればそれらについてもご紹介したいと思います。
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