はじめに
朝日ネットのaibaです。
オンプレミスのインフラエンジニアになるとデータセンターでの物理的な作業を行う機会が多々有ります。しかし、こういった作業は経験で覚えることが多く、作業がないと学ぶ機会が少ないと感じました。
そこで今回は ケーブリング について焦点を絞り書こうと思います。
ケーブリング時に意識すべき点
ケーブリング作業を行う際に意識する点として、以下の項目が挙げられます。
1.作業スペースの確保
2.エアーフローの確保
3.視認性の確保
4.見た目の追求
作業スペースの確保
ネットワークスイッチやサーバとの間を配線する際にはまず、「作業スペース」を確保する必要があります。
このときの「作業スペース」とはサーバラックから機器を引き出すためのスペースです。
「とりあえず仮配線しておこう」「後で整線すればいい」など安易な考えでケーブリングをしてしまうと「気づいたときにはサービス開始していた」という事態になってしまい整線できなくなってしまうことがあります。
上記の理由から1本の配線作業でもその後予想される作業(保守交換等)を意識する必要があります。
エアーフローの確保
設置する機器によって排気 / 吸気の構造が違います。。
- ラックサーバーは前面で吸気し、背面で排気する「Front to back」式の構造が多いです。
- 安価な機器や旧式のネットワーク機器は側面で吸気し、背面で排気する「Side to back」式の構造のものが多いです。
(最近のデータセンタスイッチは、前面吸気か背面吸気か選択できるようになっているものが多いです。 - サーバのNICは背面にあることが多く、サーバー機器は「Front to back」式だとすると、サーバーとネットワークスイッチ間の配線の長さを考え、ネットワークスイッチのポートはサーバーに合わせてラックの背面に向け、「back_to_front」式にするとラック内の空気を効率良く循環させられると考えられます。
視認性の確保
ケーブルは使用する用途ごとに色分けをすることでなんの目的で敷設されたものなのかが明確になり、障害発生時にも対処がしやすくなります。
例えば以下の表のように用途ごとに色を分けると視認性が良くなります。
色 | 用途 |
---|---|
赤 | ストレージネットワーク用 |
緑 | 管理ネットワーク用 |
青 | 通信用ネットワーク用 |
白 | ローカルネットワーク用 |
黄 | コンソール用 |
※ 対応表はあくまで一例です、
また、ケーブルの対向機器が分かるようにケーブルタグをつけることで、実際の配線とconfig上での設定内容に差異があった場合にとても役に立ちます。
見た目の追求
ケーブルをただまとめればよいというわけではなく、誰がやっても同じように、かつ見やすくすることが必要です。
- サーバの背面から左右に迂回させ、ケーブルガイドを用いて束ねる。
- ネットワークスイッチの周りはLANケーブルが密集しやすいので束ねて左右に迂回させる。
といった使い方があります。
ケーブルガイドのデメリットとしては、製品にもよりますが約1U分の場所を使用してしまうことが挙げられます。「ラックの一番上はケーブルガイドを置く」と決めておけばラックを増設した場合でも同じような運用方法が実現できます。
さらに、ケーブルタグをケーブルの両端に取り付けることで、どこの配線経路を通って対向機器につながっているのかがわかるようになります。
上記を踏まえて実際にケーブルガイドを利用した際の配線です。
- 写真では緑色のケーブルを「管理用」、青いケーブルを「通信用」として区別しています。
- 信号線となるLANケーブルをケーブルガイドでまとめています。
- 電源ケーブルは束ねてしまうと熱源のもとになってしまうので極力束ねないようにしています。
※データセンターは原則的に撮影不可のため、オフィスで使用しているものを撮影しています。
このように普段あまり意識せず行っているケーブリング作業もちょっとしたことで、データセンターでの作業効率が上がります。
やってはいけないをやってみた
一般的にタブーとされていることを実際にやってみたらどうなるのかを実験してみました。
1. 光ファイバーの先端を汚してみる。
光ファイバーは結線時に必ずクリーニングをしなければなりません。クリーニングをしないと光がうまく伝搬されずパケットロスの原因になります。また、誤ったクリーニング方法をすると同じようにパケットロスの原因になります。
今回は、光ファイバーの先端を意図的に汚して端面モニターで表面を観察してみました。黒い部分が「コア」部分で周辺の白い部分が「クラッド」部分になります。
きれいな状態
先端を指で触れてみる
先端を服にこすりつけてみる
先端をカーペットにこすりつけてみる
汚れがついているまま、レーザー光を当ててしまうと、コア部分にダメージを与えてしまい、ケーブル自体の損傷につながってしまいます。なので、専用のクリーナーを利用し必ずクリーニングする必要があります。また、ケーブル側だけでなくレシーバー側にも汚れが付着している場合もあるのでケーブルとレシーバー両方のクリーニングが必要です。
2. 光ファイバーケーブルを意図的に折ってみる
光ファイバーケーブル1はファイバー部分がガラスでできているので、ケーブルに負荷をかけるとすぐに折れてしまい、通信ができなくなってしまいます。
しかし実際に折れているところを見たこともなければ、光ファイバーの信号は見えないので実際に折れているのかどうなのかわかりません。
そこで今回は、目に見えるよう可視光線を当てながら光ファイバーに負荷をかけ(手で折り曲げる)、どれだけ光が漏れるのかを実験してみました。
実際に光ファイバーケーブルを折ってみた時の様子がこちらです
左下の終端部分から可視光が漏れている状態が正常な状態です。
ファイバーを折ると折った箇所で可視光が漏れ、左下の終端部分から可視光が出なくなったのが分かります。
実験をしてみて、ちょっとの負荷で信号レベルが低下してしまうことがより実感できました。
まとめ
ケーブリングは単純な作業ではありますがとても頭を使う作業でもあると改めて実感しました。 この機会に自分のケーブリング知識を見直してみるのもいいかもしれません、
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
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※ 光ファイバーケーブルは1本あたり約3000円します↩